Columnコラム

調達・購買改革
2019.06.18

(後編)Googleの目指す新たな調達部門のあり方

(後編)Googleの目指す新たな調達部門のあり方

前編に引き続き、Googleの調達部門のリーダーTim Jones(Head of Strategic Sourcing)をゲストとしたインタビューセッションより、今回は弊社調達・購買チームが考える、RFP ShopからTrusted Adviserへの変革の歩みの中で特に重要なポイント3点をお伝えします。

Google調達部門の変革への3つの要諦

1. BPOの活用(業務効率化)

新たな何かを始める場合、時にはこれまでの何かを捨てるという選択が必要になる場面があります。Googleの場合、RFP ShopからTrusted Adviserへの変革のためには、ユーザー部門に寄り添って活動するための余力の確保が必要でした。

Googleにおいては、ユーザー部門との接点業務としての重要性と、内部に残したいノウハウか否かを踏まえて、反復性のある定型業務、特にP2Pを始めとし、NDAの締結、見積の督促、サプライヤとのミーティングアポイントなど切り出せる業務をBPO化したとあります。

この様にP2Pや付帯業務を中心としてBPOを活用することで、S2Cをはじめとした戦略や企画的業務の余力を捻出する。これにより調達のプロセス全体の生産性の向上や、取り組み自体をより高度に発展させていくことに繋がります。

Googleの企業規模を前提にすると、内部にシェアードサービスセンタを作ることも一つのオプションとして考えられたそうですが、従業員をより本業に従事させるというポリシーのもと、餅は餅屋で専門性を有するBPO企業とパートナリングすることを選んだそうです。

事例として、インドの市場リサーチ会社にリサーチ業務をBPOしたことで、より自分たちでその業務を賄うよりも有益なアウトプットを得ることができたということが挙げられています。

また、若干横道に入ってしまうかもしれませんが、Googleは社内ステークスホルダーとのコミュニケーションや案件・進捗管理に営業が使うようなSFAソフトウェアを使っていたという点も興味深く、これも拡大解釈すればシステムによる業務支援(調達部門リソース負荷の削減)でBPOに近い考え方です。

 

2.ノウハウの定型・標準化

変革の下地として、ノウハウの定型・標準化は一つの重要なポイントです。調達部門が役割のシフトをするとなると、その業務の多くは別の誰かが担う必要があります。例えばP2P業務のBPOを行う場合であれば自前の業務を適切にアウトソース先に定着させること。また全てのS2C案件に平等には取り組めないということで、検討・判断のための材料提供をだけ行えばユーザー部門だけでのゴール達成が見込める案件においては、ガイドラインやフレームワークなど定形ノウハウを提供し、S2Cの「セルフサービス化」を促す局面もあったと読み取れます。

ちなみに、調達部門としてサポートの手を回せない案件も出てきてしまうことから、支援を受けられないプロジェクトや部門からの反発も予想されたそうですが、こうした定型的なS2Cのガイドライン等を提供する形で手当をしたことで、想定よりも反発はとても少なく、社内からの理解もきちんと得られたそうです。

P2PS2Cいずれの領域でも定型・標準化できることを見極め属人性を排除することで、より調達部門として注力すべきことにリソースを投入する体制を構築することに繋がります。

 

3.カテゴリー専門性

 Googleは変革と合わせ、調達のカテゴリー専門性とステークホルダーマネジメントの能力に長けた人財を多く採用したそうです。S2Cに注力するとなると、時には会社の誰よりもそのカテゴリーについて深い知見を有する必要が生じることもあります。

Googleの特徴的な調達カテゴリーとして、データセンター関連資材などのハードウェア、プロフェッショナルサービス、テクノロジーなどソフトウェア的なものがありますが、いずれにおいても日々性能の進歩やトレンドの変化が生じることから、調達品目知識の持続的なアップデートの必要があります。そしてGoogleの場合、調達部門として提供できる価値、ユーザー部門からの期待いずれもが、そのカテゴリーへの専門性という点でマッチしています。

ただし、ここで重要なことは、エンジニア陣などユーザー部門の知見レベルに追いつく視点からカテゴリー専門性を追求するのではなく、サプライヤや調達カテゴリーに関する専門性に自社の顧客・市場理解を掛け合わせ、外と中を繋ぎ新たな価値を創出し、ユーザー部門をリードする役割を担っていくことが、Googleの考えるカテゴリー専門性の本質であることです。

 海外企業の事情と比べた時、人財流動性の点で外から人財を集めるというのは日本では真似することが難しいかもしれません。しかし専門性の知見を深める取組みをもちろんとして、ユーザー部門が真に必要としている価値を考える力や、自社の顧客理解、市場理解といった、より広がりのある教育を行うことでギャップを埋めることに繋がっていくと考えます。

 

新たな調達部門のあり方

 Googleの変革はRFP ShopからTrusted Advisorになることでしたが、これはサプライヤとの関係性構築を基点に(時には企業買収を含め)これまでにない新たなサービスやビジネス作りに調達の立場から貢献していくという、新たなS2Cのあり方の一つです。

Googleの今日現在の多角的なビジネスモデルを鑑みるに、実際にその新たなS2Cのあり方が体現され、一定の成功が収められたものと考えられます。

S2Cのその先にある答えは一つではありませんが、その答えを導き出す為には、これからの調達部門に求められること、あるいは今回お伝えした変革への3つの要諦は欠かすことのできない重要なピースであると、弊社は考えます

一覧へ戻る